チャイルド・スピリット
![]() | チャイルド・スピリット―色を通して内なる子どもに出会う 末永 蒼生 (1997/06) 河出書房新社 この商品の詳細を見る |
子供の自由表現の場「こどものアトリエ」や、
大人向けの色彩心理とアートセラピーのコース「色彩学校」を主催する、
末永蒼生さんの著書です。
末永さんの本はたくさん出ていますが、これは97年初版なので10年ほど前の本。
でも何冊が読んだ末永先生の本の中ではこれが一番心に力強く響きました。
子供が白い紙の上に描くものは、いまのその子のそのままなんですね。
いろんな想いを色やタッチ、形で描き出して、吐き出していき
自分で自分をセラピーしているのです。
受験や親の喧嘩や自分のまわりで起こる諸々のこと
それらにストレスやさまざまな感情を感じて、
激しいタッチや暗い色などで紙の上に吐き出したら
次第に色とりどりの晴れ晴れとした絵を描くようになる。
子供はこの世に生まれてから時間がたっていないぶん、
より宇宙と繋がりやすく、自然な力で自分を癒していくのかもしれません。
そして子供たちのそんな絵を見て、親は自分の抱えているものに気づき
子供たちと一緒に癒されていく。
じっさいの絵は掲載されてませんが、さまざまな事例が紹介されていて、
誰かのことが、自分のことと重なることもあるかもしれません。
阪神大震災で被災した子供たちの心のケアのために
「空とぶアトリエ」を立ち上げて、画材を持って被災地にかけつけた人たちの活動も紹介されています。
はじめは激しい、悲痛な絵を描いていた震災でショックを受けた子供たちの絵に、だんだん色数が増えていく・・・。
子供だけでなく、大人のなかにも癒されない子供がいて
それは機会を与えられれば沈んだ場所から表面に浮上してきます。
その子に気づいてあげると、人はより自分らしい道を歩いていけるのだな、と
あらためて本を読みながら感じました。
子育て真っ最中の親御さんにはもちろん読んでほしいし、
子供の心なんて忘れちゃった?! という大人にも読んでほしいと思います。
そして、お子さんや自分の中の子供に、画用紙とクレヨンや絵の具を与えて、
自由にお絵描きさせてあげてほしいと思うのです。
"人間は子どもから大人へと発達するものー と日頃私たちは思いがちだし、またそのように教えられてもきた。しかし、じつは人は歳とともに"子ども"へと成長するのではないかと思う。
・・・・
われを忘れて紙の上に色を走らせ、工作に熱中している子どもたちは、まさに"自己実現"の瞬間を生きている。純粋に創造的な喜びのためだけに絵に集中している子どもたちには、時に強烈なオーラすら感じられる。
これこそ、心理学者のエイブラハム・マズローが"至高体験"と名づけたものの原型ではないか。人間には、自分の才能と潜在能力を最大限に生かそうとする生得的な傾向がある。それが自己実現であり、その瞬間に"至高体験"が訪れるという。
自己実現の扉を絶え間なく開き続けようとする子どもたちの深く完璧な英知。だが、それは生きることの意味を見失いかけている大人たちにこそ必要なのではないか。ー 取り戻すにはどうしたらいいのだろうか。じつはその通路は、子どもたちが無心に描く絵の中にあったのだ。"
『チャイルド・スピリット』 あとがきより
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