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西行花伝

西行花伝 西行花伝
辻 邦生 (1999/06)
新潮社
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"あなたも何が正しいかで苦しんでおられる。しかしそんなものは初めからないのです。
いや、そんなものは棄てたほうがいいのです。
正しいことなんかできないと思ったほうがいいかもしれません。
そう思い覚(さと)ってこの世を見てごらんなさい。
花と風と光と雲があなたを迎えてくれる。
正しいことを求めるから、正しくないものも生まれてくる。
それをまずお棄てなさい。”

平安末期から鎌倉の初期の歌人、西行法師の生涯を
弟子の藤原秋実が、西行本人や縁のある人物から話を聞きながら、
亡き師の姿を浮き彫りにしていく。

願はくは花の下にて春死なん そのきさらぎの望月のころ

西行については、この歌しか知らなかったし
日本史が苦手なので、時代小説も苦手にもかかわらず
文章の美しさと、著者の深い精神性に圧倒され
ときにページから目をあげて、宙をあおいでしまいながら
最後まで読み切ってしまいました。
ぶ暑い本ですが、そこかしこに宝石のような言葉が
ひっそりとちりばめられていて
ときどき取りだしては、その世界を味わいたくなります。
ずっと手放さないであろう、数少ない本のひとつ。
谷崎潤一郎賞受賞作。

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